オリジナル腕時計のベルトの作り方

長年愛用している代表高橋(以下私)の腕時計。

手作り腕時計

 

製作したのは6年以上も昔だと思います。

時計のケースは、クラシカルをイメージしたデザイン。

時計のベーシックな形に、アトリエサザンカの大きな特徴であるクラシカルな色合い。

文字盤は、アンティークなレッドウッドをベースにした、旧漢字の文字盤。

当時、私が一番欲しかった腕時計のデザインです。

ベルトは、コードバンの色合いに、ステッチは黒でまとめ、趣ある腕時計が誕生しました。

 

この腕時計は、文字盤の色が良く目立ち、色々な方から「素敵ですね」「どこで買ったんですか?」などと言われてきました。

カジュアルな服装にも合うし、スーツにも合う。

そんな腕時計として長く愛用してきました。

ベルトも定期的に磨き、大切に使ってきました。

しかし、ベルトはどうしても消耗品。

長年使うことで、くたびれてきました。

ですが、長年愛用したベルトの輝きは、簡単には出せない「味」がありました。

 

でも、人間というものは、新しいものが欲しくなる生き物。

ここいらで、ベルトを新しくしようと思い切って、ベルトを取りました。

手作り腕時計

 

ベルトがなくなると、改めて、当時の製作のことを思い出します。

この時計は、もともと趣味で製作した時のモノ。

そして、このクオリティーだからこそ、この時計を「欲しい」と言ってくれる人がいたと思います。

そのお声がなかったら、アトリエサザンカは誕生していません。

 

この時計を製作したとき、時計作りは本当にド素人でした。

まず、時計の仕組みもわからない。

時計ケースをどう作るかわからない。

レンズはどうなっているの?

文字盤はどう作ればいいの?

レザークラフトって大変じゃない?

 

そんなレベル。

もともとハンドメイドをしたことはありませんでした。

当時はまだハンドメイドがブームではなく、手作りに疑問を持つような風潮がまだあったのではないかと感じたこともありました。

これは、実際に当店が出来た時にご来店いただいた方に言われたことがとても印象に残っています。

「手作りだからおもちゃでしょ?」「こんなので食べて行けるの?」

興味本位で当店にご来店いただいた方のお言葉でした。

この厳しいお言葉、この悔しさが後のバネになりました。

今ではとても感謝している言葉です。

素人から独学で産み出すという工程が如何に大変か、上記のお言葉がなかったら、簡単にあきらめていたかもしれません。

 

そんな素人が気付けば船橋市公認ブランドになっていました。

本当に多くの皆様に支えられ、今を刻んでいます。

本当に感謝の日々です。

 

その思い出深い腕時計。

今回はベルトを一新することにしました。

それがこちらです。

手作り腕時計

 

紺色のベルトに、グレーのステッチ。

手作り腕時計

 

当初は文字盤が赤なので、黒ベルトに、赤ステッチで製作しようかなど、ありきたりな思考でいました。

ですが、「アトリエサザンカを作った意味って?」と心の中を一度整理してみました。

「どこにもない時計を製作したい」

その想いがあるのに、いつしかありきたりなデザインの時計を販売していた自分。

一度ここで、原点に返ろうと決意表明の意味で、誰しもがしないであろう、赤の文字盤に紺ベルト、グレーステッチで製作してみました。

バックル付近の写真です。

手作り腕時計

 

「自分の」ということで、ハトメを用いてみました。

発足当初は全製品にハトメを用いて製作していました。

現在は全製品ハトメを使用せず、オプションで追加可能なようにしています。

 

装着風景です。

 

紺ベルトがとてもきれいに見えます。

この紺ベルト、一瞬見ると、紫にも見え、とても綺麗なイメージが大きいと思います。

斬新な色の組み合わせ、これからもこのような挑戦を行って行きたいと思います。

 

実は、今回ベルトをリニューアルすることで、とある実験をしています。

それは、革を大幅に変更しました。

 

これまで、使用していた革を一新し、革を変えてみました。

アトリエサザンカが使用している革が何かは今まで発表したことがありませんでした。

今回も発表はしませんが、明らかに使用している革の表面、裏面は変わっています。

革の変更は昨年末からずっと考えていたこと。

革の色は、アトリエサザンカで実際に手作業で染色を行っています。

この染色作業を止め、栃木レザーを仕入れようとも一度検討しましたが、とある専門家に、「これだけの染色能力があるのに、染色を止めるのはもったいない」と言われ、一度思いとどまりました。

それから、ベルトの製作工程を変更し、一手間食わることで、新しいベルトの誕生を行っていましたが、今回は根本となる革の質を変更することといたしました。

これは、大きなチャレンジだと私自身も思います。

実際に私自身が実験台となり、使用してみて、今後どうするかを決定しようと考えています。

使用感がよければ、変更するという選択をしたいと思います。

 

大きな変化はなかなか産み出せませんが、小さい変化を少しずつ行うことで、やがてそれが大きな変化に通じる。

そう信じています。

これからも、いろいろなチャレンジを行い、変化を産み出していきたいと思います。

もしかしたら、それが失敗するかもしれません。

でも、その失敗はいつか大きな成功につながるはずです。

日々学ぶこと。

それがアトリエサザンカの信条でもあります。

2018年03月12日